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aviva2003 Autumn より抜粋

「絵を描く理由。子供みたいだけど、好きだし楽しいから」(陳)  

天野先生にとって絵を描くというのはどういう意味があるんでしょうか?天野先生が絵を描く理由ってなんですか?  
     
天野 急にどうしたんですか。核心を突いた質問ですね(笑)。陳さんはどんな理由で絵を描いていらっしゃるの?  
     
私は自分の絵が好きだし、描いていて楽しいから。子供みたいな理由で照れ臭いです(笑)。でもそれ以外には答が見つかりません。  
     
天野 同じですよ、同じ。僕も絵を描くことが何よりも好きだから描いているんですよ。それに少し付け加えれば、他のことはあまり器用にできなくて、うまく自分を表現することができない、ということもあります。たとえば、小説家なら文章で表現したり、ミュージシャンなら歌や音楽で表現したり、スポーツマンなら運動能力や肉体でと、自己表現のスタイルはいろいろありますよね。僕はたまたま絵で自分の思い描く世界を表現することが、一番やりやすかったんですよ。たぶん、日常的に自分の考えたイメージを伝えたりするには、言葉で表現する方法が一番簡単なんでしょう。でも僕は幸か不幸か、言葉で表現することのほうが面倒で、しかも難しかった。僕にとって、言葉で表現するって限界があるんですよ。絵だと素直に表現できることが、言葉では全てをうまく伝えきれないというか、もどかしいんですよね。
僕の場合、自分のイメージを伝えたい、自己表現をしたいと考えた時、その方法として絵を描くことが最も気持ち良かった、ストレスなく素直にできた、ということです。
 
     
平凡 絵を描く理由は、プロ、アマチュアなど関係なく、皆さん同じなんでしょうね。僕も彼女もイラストレーションが好き、絵を描くことが好きでこの世界に入ったわけですが、絵を描く理由はいくら考えても、やっぱり絵が好きだから、としかないんですよ。
うまく描けなくて、何日も寝不足で、締め切りが迫ってイライラして、でも好きだから投げ出さないで描いているんです。 楽しみに待ってくれているファンの皆さんがいるとか、絵を描くことが私達の仕事だからとか、発注してくれた方に迷惑をかけたくないから、という部分も確かにありますが、やはりそれだけではないんですね。結局、自分が絵を描くことが好きだから、というのが絵を描く最大の理由なんです。
 
     
天野 僕は、まず自分が好きな絵を描く、自分が好きになれる絵を描く、というのが大前提にあるんですよ。あたり前なんだけど、自分が好きな絵じゃないと、とても人には見せられないよね、って気持ちがどこかにある。自分が好きな絵でないと、見てくれる人も絶対に好きにはならないと思っています。もちろんこれは絵に限ったことではないと思いますけどね。料理人だって、自分が美味しいと思わない料理をお客には供しないでしょうから。僕は、自分の意に沿わない、描いていて楽しくない絵は絶対に描きません。描いていても必ず完成しません。描いていて楽しい絵、自分が惚れる絵だけを描きます。自分にとって魅力的な絵じゃないと、僕には描く意味がないんです。たとえそれが凶悪な血に飢えたモンスターのキャラクターでも、そのモンスター自体のどこかを好きになって、いろいろな登場シーンを頭の中でイメージしながら、楽しんで描くことが大切だと思っています。もちろん作品によって、頭の中でイメージが完成した途端から、最初の一筆から好きになる作品もあれば、迷いながら描き始めているうちに、試行錯誤しながら描き進んでいくうちに、どんどん好きになっていく場合など、いろいろですけどね。僕はね、アトリエで作品を描きながら「かっこいいなー」とか「かわいいなぁ、「きれいだなー」とか心で呟いたり、小さな声で口に出したりしてます。自分で自分の絵を誉めまくっているんですよ(笑)。  
     
私も天野先生に同感でーす(笑)。やっぱり、自分の作品を愛していなければダメですよね。私もそう思います。100%完璧に愛せる作品ばかりではないけれど、好きになって、楽しんで、納得した作品でなければ、作品を見てくださる人々の心を動かすというか、私達描き手のプラスのイメージは伝わらないと思います。  
     
天野 僕らの仕事、絵を描くことって、絶対的な評価がわからないですよね。たとえば挿絵を描いた本が爆発的に売れたとします。そのこと自体はとても嬉しいし、本が売れたという一般的な意味での評価もわかります。でも、それは作品としての評価とは全くの別物なんですね。また、たくさん版画が売れたからそれがいい作品なのか?というと必ずしもそうでない、という考え方もあります。いい作品とそうではない作品って、歴史という時間の波に洗われなければ見えてこない部分も、多くあるのではないでしょうか。すると我々絵描きにできることは、少しでも受け手にイメージが伝わるように工夫や努力を重ねながら、前向きに描き続けるしかないんですよ。そして最低限、自分だけでも楽しくおもしろがりながら、好きな作品を全力で描く、ということしかないんだなと思います。  



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